「2度目のソウル 2003 冬」

 

1.近くて遠い国

 僕はここ、ソウルに来るのは2回目だ。

 韓国のソウル・・・飛行機に乗ってしまえば2時間あまりで着いてしまうが・・・やはり他国ということもあり、出国の手続きも煩雑ではあるし、成田までは遠いとかいろいろあって、近くて遠い国ではあるし・・・そのような物理的な時間と言うよりも、言葉も通じないし、行くのに、ちょっと北海道までという国内気分での一人旅はしにくいものだ。そして、それなりにまとまった連休を取って行かなければならないというのも心理的には負担だ。

 だから、いくら物理的な時間が縮まったとはいえ、そこに国境がある限り、海外というのは近くて遠い国である。

 でも、ソウル・・・私はちょうど一年半前にも訪れたのだが・・・とてもいい印象があったので、もう一回来ている。

 前回は不慣れだったこともあり、インターネットの接続もままならず、「今日の一語り」の更新のみでの韓国実況であったが、今回はがんばって初の海外からのリアルタイム旅行記にチャレンジしています。

 今後の展開をお楽しみに♪

 思わずうれしくなってしまった、機内食

うまかったっす。・・・肉好きの私・・・やるじゃない・・・アシアナ航空♪さすが、焼肉のKOREA

 

 

 

 2003年12月20日(土) 21:15  ソウルのホテルにて

2.今回も境界に行く

 実は今回の旅の大きな目的のひとつが、朝鮮民主主義共和国(以下、北朝鮮)と韓国の国境線近くまで行くことであった。

 私は昨年(2002年6月)にも韓国ソウルを訪れたが、その際の目玉も、板門店(はんもんてん(日本語読み))に行くことでした(2002/06/21(Fri) の一語り参照)。そこはまさに北朝鮮の兵士と韓国の兵士が目の前で対峙している場所。かなり緊迫感があります。

 今回は、そこまで近くはないのですが、第3トンネルとトラ展望台を回るツアーに参加してきた次第。

 日本にいる知人に、まぁ、北朝鮮と韓国の境界線を見てくるよと言うと、かなりびびられている感じで(なんでそんなこわいところへ・・・気をつけてねという感じで)・・・実際、僕も若干びびっているのですが、来てしまえば・・・国境好きの僕としては絶対にはずせないスポットと、何か絶対に行かねばという義務感さえ持ってしまう場所。 38度線(正確には軍事境界線・・・だって、今やその境界は北緯38度に正確に沿っているわけではないので・・)という、ベルリンの壁が崩れて以降、唯一残った分断国家の象徴・・・その歴史性において、私は板門店に続き、この第3トンネルを見ざるを得なかったわけです。

 日本で言うところの38度線をトラ展望台から見てきたわけですが・・・前みたいに、北朝鮮と韓国の兵士が目の前で対峙しているというわけではなかったので(展望台として上から北朝鮮を眺めるという感じ)、そこまでの緊迫感はなかったものの、やはりびびります。

 また、北朝鮮が南に侵攻するために掘ったと推定される第3トンネル(北朝鮮から掘られたと思われる4つのトンネルの中で見つかったのが3番目のトンネルなので第3)にもぐって、DMZ(非武装地帯)の奥までいったのは、やはり緊迫感があります。考えても見てください・・・北朝鮮が侵攻を企図して掘ったとされるトンネルを逆走するのですから・・・。

第3トンネル入り口  メットをかぶって入っていくんですよ否が応でもたかまる緊迫感

 こういう本当の緊迫した状況は、平和な日本にはないですね・・・だから、無事生還したと思えるわけです。ふー。

 そして思うのは・・・このような境界がいつまでもあってはいけないということ。そして、平和への思いがつのります。

 2003年12月22日(月) 0:23  ソウルのホテルにて

3.実弾を撃つ

 北朝鮮と韓国の境界線を見ることと同時に、もうひとつ大きな目的が今回の旅にはありました。

 それは、韓国で射撃場に行くこと。

 韓国では射撃が合法的にできるわけで・・・(ちなみにカジノも合法です)。日本国内ではできないことが海外ではできるというのは・・・よくあることではありますが。

 でも、韓国に来はいいけれど、なんだかこわそうなので気が引けていました。行こう行こうと思いながらなかなか行けない。日本にいる時に予約も取れたんだけど、取っていない・・・そんな感じです。

 こわいだったら行かなければいいじゃない・・・そういう意見もございましょう。北朝鮮と韓国の境界線に行くのにちょっとびびっていたら、やはり同じようなことを言われます。まったく道理が通った話です。

 では、なぜ、こわいこわいと思いながら行くのか?

 それは、分断の境界も、射撃も韓国に来なければ体験できないことだから・・・。

 私は好奇心の塊ですから、だから、一人旅は寂しいと思いながらも行く、寒い時でも、流氷が見られるからと北海道に行くという感じ。何につけてもその旺盛な好奇心のせいで、びびりながらも行くことになるのです。

 さて、ここでもう一つ誤解されそうなのでことわっておきたいのが・・・私は決してガンマニアでもミリタリーマニアでもないということ。北朝鮮と韓国の境界線に何度も足を運んだり、次には、射撃と来たわけですから。ミリタリーマニアと思われてもしょうがないかもしれませんが、決してそうではないのです。

 断然、銃反対派です。そう、映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見てもその思いを新たにしたのも最近です。銃という暴力を使って解決できることはない・・・それは戦争で解決できることはないという思いにもつながります。このサイトでも何度も言及してきた平和の大切さ(長崎を訪れた時(リアルタイム旅行記 「江戸のかたきを長崎で・・・討たれたくはないけどね」)も、広島を訪れた時(リアルタイム旅行記 「広島に行くんじゃけえ」)もそれは強く感じています)、それを日々感じている私にとって、銃に肯定的な感情を持ちようがないのです。

 でも、全くその実態を知らずして、銃の存在を否定していいのか?という論理もあると思うのです。そこで、韓国では銃が合法的に撃てると知り・・・一度、試してみようと思った次第なわけです。また、私は大の映画好きでありますので、その映画でかっこよく使われている銃とはいかなるものか・・・それを体験したかったこともあります。

 分断の境界から生還してきた、興奮さめやらぬまま・・というか興奮冷めやらなかったからこそ、その勢いで、射撃場に行きました。

 はじめレクチャーを受けるのですが、コーチが日本語で教えてくれます。

 「初めてですか?」

 「はい・・」

 「はい、こう持つんですよ、やってみてください」「はい、撃鉄を起こしてパン、撃鉄を起こしてパンの順序です」「照準はこう合わせますからね」「はい、では、弾を込めますね」

 え?そんなに簡単に撃ってもいいの?

 そのような感じで、そもそも、すごいびびっていた私があっというまに撃つことに・・・。立ち方と持ち方の簡単なレクの後、防弾チョッキをつけてもらって耳当てをつけてすぐ射撃です。

 言われた指示通りの構えで、まずはリボルバー10発を撃って、次にオートマチックの撃ち方を習ってすぐ実射5発、最後に45口径のオートマチックの実射10発です(これは反動がかなり大きい)。

 なんかあっというまでした・・・。

 帰り道、送迎してもらっている車中「射撃楽しかった?」と聞かれて「いえ、こわかったです」。正直な感想でした。

 なんか「やっちまった」・・・というふるえるような気分にさいなまされていたことは事実です。ただ的に向かって撃っただけではあるのですが・・・。

 宣伝文句にはストレス解消にとうたわれている射撃場、僕には決してストレス解消ではなかったわけです。

 こわかったし、なんか、無我夢中だったのですが・・意外にも命中率はよかったようです。そんなに遠い的ではなかったのですが、それでも全ての銃で9割以上の命中率でした。受付の方も「初めてですよね?」とお世辞半分かもしれませんが、ちょっといぶかしく思っていたようです。

 なぜかこんなに当たっています。

 銃の発砲の瞬間の反動、その衝撃・・・それは手に染みついて忘れることはないでしょう。そして、それが心地よいものではなかったことで、自分の銃への思いが再確認できた気がします。

 やはり、銃には反対です。銃がなくなる日・・・それは戦争がなくなる日なのかもしれませんが・・・願わずにはいられません。

 ペンは剣より強し・・・元来、同調してきた信念ですが・・・それを信じていきたい。

 2003年12月22日(月) 1:23  ソウルのホテルにて

4.韓国のアウトレット街

  さて、初日、2日目までが今まで述べてきたようにやたらハードだったので、3日目はさすがにゆったりしようかということで、ショッピングにでもしゃれ込もうかと思ったわけだ。
 ま、ショッピングって柄じゃないんだけどね。ここ韓国にもアウトレット街があると聞いて、ちょっと郊外なのだが、地下鉄を乗り継いで行ってみることにした。

 文井洞(ムンジャンドン)という所なのだが、地下鉄を何個か乗り継いで行かねばならずちょっと遠い。服とかは無頓着なのでわからないが、僕はアシックスのスポーツシューズの愛用者であるので、なかなか日本では安く売ってはいないので、ここ文井洞ではアシックスの店もあるとのことなので行ってみようかなと思った次第。

 文井洞

 確かに、日本のアウトレットモールと雰囲気はそっくりだし、なんかとても安い気はする。でも、アシックスの靴は確かに安いのだが私が食指を動かすまでには至らなかった。日本でも探せば近い価格でなんとかなるかもとか思ってしまったりして。
 もともと、アシックス買うぞーと息巻いていたわけではないので未遂に終わる。

 ほか、コートとかいろいろ安そうだったけど、やはりこの日、12月22日は平日であり、買い物客も閑散としていて、その中で買い物をするのは、こういう服飾系の買い物は苦手な私にとっては、気が引けるものである。

 また来ることもあるだろうと思いつつ、この韓国のアウトレット街を去った。

 2003年12月24日(月) 16:02  帰国後某所

5.ソウルの夜景を堪能する

 実は私はタワー好きである。タワーがあると登りたくなるしね。
 そんな私が前回ソウルに来た時に果たせなかったことが・・・ソウルタワーに登ること。

 ソウルタワーとは、ソウルの中心街から南に行くとある、南山(ナムサン)公園(パーク)にあるタワーだ。
 ソウルを360度一望できるとのことで、今回は言ってみようと言うこと。

タワー遠景 タワー近景

 なんか、ロープウェイに乗って上まで上がったりするのだけど、観光客というより地元民的動きばかりしてきた私としては、すごく、観光客っぽいことをしているなぁと思ってみたりする。

 日本人は僕一人だったようで・・・タワーのしたまで上がると、私はニコンの一眼レフカメラをぶら下げていたのだが、同じくニコンの一眼レフをぶら下げていた韓国人のお兄ちゃん(多分年下)からシャッターを押してくれと頼まれたりする。英語で会話したりしていたが・・・ニコンという共通言語で通じ合ったのだろう(^-^)

 タワーに上がったのは夕方であったが、タワーに登ってぶらぶらしていると、すぐに日が落ちて、夜景を見ることができた。

 ソウルの夜景を堪能。いいものです。

 ソウルの夜景

 車が渋滞しているのがはっきり見えるのです。車の渋滞がひどいはソウルの社会現象のようです。ちょっと昔の日本と同じですよね。

 

 2003年12月24日(月) 16:15  帰国後某所

6.ソウルこぼれ話

☆ びびっているのはこっちです

 射撃で実弾を撃ってきた話は前述したとおりだ。でね・・・射撃が終わった後、そのコーチが、記念撮影をしてくれるということでカメラを貸してということだったので、自分のニコンの一眼レフカメラを渡す。
 とたん「コレハムズカシイデスネ、Automatic?」とか言い始めるコーチ。
 当然オートフォーカスだし、というか、「実弾撃っちまった」って足ガクガクでビビりさめやらないのは僕の方だよってつっこみを入れたくなってしまった。拳銃撃つ方がよっぽど難しく思える日本人な私。
 ま、確かに、一眼レフ・・・初めて触れた時は僕もビビったのだけど・・・

 

☆ 韓国の高校生と国際交流

 ソウルのアウトレット街、文井洞からの帰り道の地下鉄の車内(文井洞が郊外だから郊外の生活路線とも言える)で、日本語の地下鉄案内図を見ていたら、隣に座っていた少年が「ニホンジンデスカ?」と話しかけてくる
 "Can you speak English?"英語は話せるかと言っていたので、まぁできると言うと、英語で話し合ったりしたのだが、なかなか面白かった。この夏、日本に来てお台場、東京大学、浅草を回ったこと、日本語は第2外国語として高校で習っていることなどなど。でも、韓国の高校生は積極的だよね・・・自分の高校時代は外国人がいても話しかけるということは考えられなかったから。こういう国際交流は僕にとっても興味深かったのだが、将来あるその高校生にとっても有益だったに違いない。そのチャンスを逃すまいという積極精神は見習っていきたいものだと思ったよ。でも、「一人旅でハングルとか読めなくてもソウル市内を色々回れるのか?」と不思議そうに問うので「まぁね」と答えた時は、「おじさんもだてに年を食っていないのだよだてにね♪」って思ったわけではあるが(海外一人旅は勇気は要るものです)。

 2003年12月24日(月) 17:20  帰国後某居酒屋

 

 

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