想い出と結びつくもの
 

 あの曲を聴くとどうしても切ない気分になってしまう、センチメンタルになってしまう。そういう曲って誰しも必ず持ってますよね。なにかの想い出と結びついているんでしょうね。特に恋愛の想い出と曲が結びつくというのは良く言われることですよね。

 この、ある想い出にまつわる感傷等の情動と曲が結びつくということのメカニズムは、心理学の法則を用いて次のように説明できるのではないかと思います。

 パブロフの犬の話はご存知でしょうか?結構有名な話なのでご存知の方も多いかもしれません。
 まあ、簡単に言うと、犬にベルの音と一緒にえさを与えつづけているとそのうち犬はベルの音を聞いただけで唾液を出すようになるということです。この現象の発見者がロシアの生理学者、パブロフだったところからパブロフの犬の実験として広く知られているところです。
 

 さて、この実験の状況を図化してみるとFigure 1のようになります。本来えさ(刺激)を与えられて唾液を出す(反応)、ベルの音を聞く(刺激)と耳をそばだてる等(反応)といったように別個の 刺激−反応 関係があるはずなのですが、その二つが同時に反復されると、ベルの音を聞くと唾液を出すという新たな 刺激−反応のつながりが形成されるわけです。
 このような現象を心理学では、古典的条件付けと呼んでいます。

 想い出の曲を聴くと、なにかセンチメンタルになるというのも、この古典的条件付けと通じるところがあるのではないかと思います。
 曲を聴くと普通・一般的にはその曲に聞きほれる・楽しむといった反応が出ますよね。でも、その曲を聴くのと同時に、感傷的な気分を起こさせるような想い出のシチュエーションにいたとしたら、前記の(古典的)条件付けが起こり本来的には 刺激−反応関係にない、ある曲を聴くということと感傷的な気分になるというものが結びつくのではないでしょうか?(Figure 2参照)
 

 だから、例えばね、ステディな異性と共に過ごした幸せな日々に良く聴いた曲というのは、その後聴いても、幸せな気分を思い起こさせてくれるでしょう。また、ステディな異性とわかれてつらかった期間にヒットしててラジオ等からヘビーローテーションでかかりまくってた曲というのは、その後聴いたら、その頃の沈んだ気分を思い起こさせるものでしょうしね。そこらへんからは直感的にわかっていただけるかなって思いますが。

 ま、想い出の曲とセンチメンタルな気分というある種ロマンティックな話しに、こんな科学的というか、いわば理性の話しが入ってきてしまっては興ざめかもしれませんね。

 まあ、夜空を飾る花火を見ている時に「あの花火の色はね、アルカリ金属とアルカリ土類金属が燃焼する時に起こる炎色反応なんだよ」とか言っちゃったり(ちなみに私は言っちゃったことがあります・・・(^‐^;)さ、例えば、七夕の織姫と彦星のロマンティックな話しをしている時に「天の川(MILKY WAY)の両幅の距離は天文学的に言うと・・・」なんて言っちゃうのと同種かもしれないですから。

 皆さんの想い出の曲どんなのでしょうか?どんな想い出が結びついていますか?幸せな想い出ですか?つらい想い出ですか?

 幸せな想い出いっぱい作って、幸せな気分になれる曲を増やしていきたいですね。
 
 

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