本当の自分
 

 「本当の私を見て!」「本当のおれを見てくれ!」「本当の私を見てくれてない!!」、なんかよく聞く言葉ですよね。ドラマの恋愛シーンではよくあるセリフですよね。実際の恋愛シーンでもあるのかもしれない、うん、ありそうですね。
 
 まあ、ドラマなんかではこのようなセリフ、たとえば、実は自分の彼女が自分の持っている財産に惹かれていたのだと分かった時とか、 自分の彼氏が自分の美貌にのみ惹かれていたのだと分かった時とかに使われますよね。
 まあ、言ってみれば自分の持っているそういった最大の長所というべきもの一つのみで自分を評価しないでほしいという叫びになんでしょうかね。

 でもさ、本当の自分なんているのでしょうかね?もしかしたらその財産持ちの彼は自分の財産を除いたら大して面白味のない男かもしれない。美貌の彼女だって、その自分の美貌を除いたら大して性格も良くないつまらない女性かもしれない。

 そんなことで、「本当の私を見て!」「本当のおれを見てくれ!」「本当の私を見てくれてない!!」、なんていう言葉は今想定したような状況ならば(そういうシチュエーション以外で使われることもあるでしょうが)、結構贅沢なことを言っているのではないかなあ。自分の最大の長所を除いて評価できる長所を探してほしいと要求しているようなことなのだから。

 そりゃ、私も若い頃(いまでも若いかな・・・?)は思っていましたよ。やっぱ、女の子には本当の自分に惹かれてほしいなあ、なんてね。男は外見じゃないさ、中身、すなわち、本当の自分を見てくれる女の子が必ずいるってね。今思えばずいぶんロマンティストでしたね、それに、傲慢だったかなあ。だってさ、自分でもわからない自分の秘めた長所を女性に探し出してもらって引き出してもらおうっていうことですからねえ。

 まあ、「本当の自分」なんて、存在するのかなあ?存在しないんじゃないかなあ。いると信じていて追ってはいるのだけれどもどうしてもつかまえられない「青い鳥」なんじゃないかな?
 
 だから、そんな青い鳥を追うよりはあるがままの自分が自分なんだって思うようになりましたが・・・。

 あるがままの自分で一本勝負って感じですよ。それしかないのじゃないかなあ。

 こ〜んなこと言っているから、いまだに「もてない男」なんでしょうかねえ。
 
 

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