「佐々木です、好きです、結婚してください」
留守番電話の再生メッセージの中に、男性の声で、このような旨のメッセージが流れてきた。その再生メッセージを聞いていたのは大学生の男であった。
これは昔、知人が体験したこととしてその知人から聞いた実話です。その知人はまあ、冗談を言うような人ではなく、事実と思われます。
状況を整理して書きましょう。
◎ 留守番電話に上記のような男性から女性に向けてのプロポーズ・メッセージが入っていたこと。
◎ その留守電の持ち主は男性であったこと。
◎ 留守番電話の応答メッセージは機械音であったこと(ただいま留守にしています〜という機械音女性メッセージの類)。
まあ、一見ユーモラスな話しですよね。
女性への大事なプロポーズ・メッセージを間違えて入れてしまった上、入れた先は男の家だったわけですし。
また、そのような大事なメッセージを留守電に入れてしまい、機械音の応答メッセージだったため間違いに気づけず、ずっと来ない返事を待っているであろう事が容易に想像できますし。
知人も困ったそうですよ・・・どうにもできないし、でも、相手の必死な思いは十分伝わってくるわけですから。
この件を理性的に考えるとこうなるのかな。
大事なプロポーズ・メッセージは留守番電話にいれるべきではないし、しかも、相手を特定できない機械音の応答メッセージだったらなおさらだね、ちょっとそこらへん考えが及ばなかったのかな?
ってね。
でも、私はこの件に関してはそんな風に理性的・合理的かつドライに考えたくはない。
そう、この佐々木さんはほんとこの電話一本かけるために、大好きな女性に自分の気持ちを打ち明けるために、長い間悩んだのだと思う。もしかしたら電話の前で何時間も考え込んでいたのかもしれない。
プロポーズするんだから、ほんとに勇気のいることなんだから当然だと思う。
そう、心拍数もすごく上がってさ、心臓の音も自分で聞いてカウントできるくらいだったかもしれない。
そんなただならぬ状態で電話番号を押す手だって震えていたかもしれない。番号を間違えやすいといえばそういう状態であったかもしれない。
そう、ただでさえ電話のかけ違いはしてしまうのだから。今日私だって職場でしてきちゃったよ。
多分、絶対言うぞーと思いつめてかけたんだと思う。だから、出たのが機械音の応答メッセージでも止められなかったし止まらなかったように思われる。
それだけその女性への想いが強かったんだろうなとも推測される。
こう考えて、佐々木さんってすごく勇気がある人なんだなって思う。
電話をしたくて受話器を前にして用件考えて、それでも逡巡したりしてしまう自分をかえりみると、佐々木さんのこのプロポーズ未遂事件、簡単にユーモラスなものとして笑うことなんか出来ない。かえって佐々木さんを尊敬してしまう。まあ、結果は間違い電話にしろプロポーズの受話器を上げダイヤルしたのだから。
佐々木さん、何らかの形で間違いに気づいて、今度こそ本当にプロポーズし、成功していることを切に願うところですね。