バレンタインの定義

「バレンタインの定義は?」とか「バレンタインって何?と問われたらどう答えますか?

 

「決まっているじゃないか、女の子が好きな男の子に告白する日だよと言う人も多いかもしれません。

 

 しかし、バレンタインって、はたして、そうなんでしょうか?

 

 あるコンビ二の店主はこう思っているかもしれません。

「さあ、バレンタインが近いなあ、チョココーナーを充実させていこう。なんて言ったって、バレンタインはかきいれ時だからな」

 

 あるデパート勤務の女性はこう思っているかもしれません。

「バレンタインが近くなってきたわね。私のいる売り場もバレンタインコーナーを作ったりして混み合っているから忙しいのよねー。それにしてもよくもこんなにお客が来るわねー。みんな彼氏持ちなのかしら。そんなにかわいくもきれいでもない子も多いのよねー。そう、私より。私が彼氏もいないで、売り場に立っているっていうのに、なんかバレンタインってすっごく不公平を感じる日よねー。」

 

ある男子高校生はこう思っているかもしれません。

「もうすぐバレンタインだなー。もらえるあてもないしなー。義理くらいならもらえるかな。でも、本命チョコって本当にあるもんなんだよな。去年チョコもらったおれの親友なんか、くれた相手ともう公認の仲って感じだもんな。義理チョコさえもらえなかったらカッコ悪いなあ。あ〜あ、なんかバレンタインって憂鬱な日だなあ」

 

ある歴史学者はこんな事を講義で教えているかもしれません。

「えー、バレンタインが近いですね。そもそもバレンタイン・デーというのは、西暦270年頃、すなわち、古代ローマの頃のバレンタイン司教に由来するのであります。時の皇帝クラディウス2世は軍人が結婚して、家族を気にして士気が落ちるのを防ぐため、軍人の結婚禁止令を出していたのだが、バレンタイン司教は、男女の純粋な気持ちを重んじ、これに背き自分の教会で軍人の結婚をとりもっていたが、これを知った皇帝に処刑されたのである。後に、バレンタインの没した2月14日はローマカソリックによって祝日とされていたものであります。」

あるもてる若いハンサムな男性はこう思っているかもしれません。

「バレンタインが近いなあ。今年もチョコをいくつももらえるんだろうな。でも、おれ甘いもの苦手なんだよなあ。せっかくくれるものを捨てるに捨てられないし、バレンタインってちょっと困っちゃうよなー。」

あるOLはこう思っているかもしれません。

「バレンタインがもうすぐだなあ。義理チョコとかも配らなきゃ。どこらへんまで配れば良いのかな。それにしても義理チョコなんかも数かかさむと出費がばかにならないのよね。結構バレンタインって物入りだわ。」

 

まあ、こう見てくるとバレンタインって、一口に言っても、いろいろですよね。かきいれ時だったり、世の不公平を嘆く日だったり、憂鬱な日であったり、祝日であった日であったり、困っちゃう日だったり、物入りな(出費のかさむ)日であったりと。

まあ、そんなわけでバレンタインデーは必ずしも「女の子が好きな男の子に告白する日」と言うことだけで説明し切れるものではないのかもしれません。人によって、バレンタインの持つ意味はさまざまなわけです。

もっとも、特定の恋人のいずバレンタインに告白しようと思っている女性にとっては「女の子が好きな男の子に告白する日」という定義があてはまるかもしれませんが、考えてみれば、全体の中にどれだけの割合を占めているかという点では、そんなに大きな割合ではないかも知れません。

 

まあ、バレンタインがどんなものにせよ、さまざまな人々の思いが交錯する日であることは確かなのでしょう。

 

えっ、私にとってのバレンタインは?ですって?もしかして、ある男子高校生って私の昔の姿じゃないかですって?

いやいや、それは聞いちゃあいけませんよ。

(1998年2月14日)

 

 

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